スピーカーブルース

18歳、初めてのワンルームマンション。

真っ白な壁に好きなバンドのポスターを貼り、メタルラックにMDコンポを設置して、待望の一人暮らしが始まった。

26歳、とある廃校の職員室。

古びた木棚にありったけの酒を並べ、事務机にアクティブスピーカーをセットして、町おこしという名のどんちゃん騒ぎが始まった。

32歳、離島の小さな一軒家。

ベビーベッドよりも重たいアンプにホームシアターセット、新たな家族との賑やかな暮らしが始まった。

生活の場を移すたび、がらんと何もない部屋を見渡し真っ先に考えるのは、スピーカーの置き場所。

幅と高さ、角度、よっしゃまぁこんなもんか、ほなプレーヤーはここでソファはこっちで…

始まりはいつだって音楽から、そしていつだってONKYOのスピーカーから。

オーディオマニアって程じゃなく、EDMのドンシャリ欲しさにBOSEに浮気したこともなくはないけど、俺はやっぱわざとらしくないONKYOの音が好きやねんよなぁ。

<オンキヨーが自己破産 名門に幕>

時代の流れよと一言で片付けるにはあまりにも寂しいそんなニュースに、ふと想起する我がNo Music No Life.さらばONKYO、まだまだ世話になるぜ!

 

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「出来ることが増えすぎて、その技術力をフルに使おうとするとどれも似た感じになっちゃうんですかね」

土庄のゲオでバイトしとった頃、なーんか新しいプレステって同じようなソフトばっかじゃね?ってゲームに詳しい同僚に訊いてみたら彼はそう答えた。

なるほどなぁ、たしかにそうかも。

それでいくとスピーカーの類もまさにそんな感じで、最近のやつはとにかくシンプルでコンパクトで、そしてビックリするぐらい音が良い。

ウチの店なんか今だに80年製のラジカセ笑 やけど、低音に関してはSONYの小さいBluetoothスピーカーの方がよっぽど出るし、音の明瞭さもぶっちゃけ上。

でもなぁ、それだけじゃないんよ。BGMを流すただの機械ではなく、愛着を持って共に暮らす、立派な相棒としてのスピーカー。

そこにはもっと個性が欲しいし、所有欲を満たしてくれる重さやサイズがあっていい。

作って売る側にも買う側にもカネと勢いがあったであろう、バブル全盛期のでっかいオーディオたち。俺はこれからもずっと、そういうやつらと楽しくやっていこうと思う。